モバイル68で行こう! つれづれの5(不定期掲載) 編集部:あいはら
<インターミッション> うちのメビウス子ちゃんは、いまだ帰還せず。という事で、まるで何もモバイ ル68な事ができなかったりする。実家に帰っても作業もなにもできなかった。 もっとも腰痛で、それどころではなかったのだが。それは、電天に書くとしよう か。せっかくの(?)2000年問題がらみの事やら、ビアボイスを買ってきた りと、この連載でもそれなりに書くことがあるだろうと思っていたのだが、年越 えても液晶交換が済まないなんて、一体どういう事なのだ? などと、#の読者 さんもいるところであまり書くのもなんだが、まあそういうことなのだ。戻って きたら、ねっちりと、そのあたりを書いてみようと思う。 今月は閑話休題モードで、このところの関心時に触れておこう。なんだかモバ イル68より徒然の方がメインな連載になってきたなあ。 <はてさて、なんのことやら> CATVである。ソニーがビット配信事業に使うと、こう申しているところの、 比較的高速な回線である。 で、こいつを使えば、まずまず快適な速度でビットストリーム配信(そういえ ばASKの辞書にはデフォルトでは「配信」という単語が入っていないなあ)も 行える、らしい。 あ、ビット配信というのは、PS2のホームサーバ機能によって、ソフトウェ アを直接家庭にダウンロードして売りましょう、という事業の事だ。2001年 から始まるらしい。とりあえず、前提は「パッケージじゃないモノ(ソフトウェ ア)を売ろう」ということだろう。どの程度の規模で、どんなコンテンツが配信 されるかもまだまだ不明な点が大きいが、現状の電話回線ではお話にならないと いうことはSCEの社長さんもいっていることだし相当な大容量を考えているこ とは間違いないようだ。 にしても、最大の注目点は、パッケージによるソフトウェアでなく、コンテン ツを直接配信して稼ごう、という「考え方」であり、またその「考え方で事業を 大々的におっぱじめてしまう」事だろう。 現状のような中古ソフト(ゲームに限らず、ビデオ、映画や音楽などの)問題 も、これで一気に解決を目論むだろうし、メーカーは自分の所ですべて利益を回 収してしまうのだ、という見方もできる。特にソニーが銀行業にまで手を伸ばそ うというのは、ビット配信の決済手数料は他の金融機関に持っていかれてたまる か、という思惑があるようにも見えるし、逆にそこまでやらないと儲からない事 業と考えているのかも知れない。そのあたりの戦略はそのへんのテキトーなマス コミ程度では分析すらしてくれない感じなので、各自注目しつつ考えてみること をおすすめする。まだまだ材料不足だが、結構面白いと思われる。 しかるに、古典的な経済学の分析によれば、資本というのは、資本の集中をす すめるために、生産様式を変化させていくものであり、それが必然である、とい うことなので、ビット配信事業についても、それを実際にやるという事業者が現 れる事についてはあらためて驚くには値しないのだが、消費者にパッケージを与 えない事業と流通形態がどのようにして受け入れられていくのか、その動向と人 々の意識の変化については興味が尽きないところではある(そんな悠長に構えて もいられない気もしないではないが)。 ただ、漠然とした危惧として浮かぶのは、鑑賞や実行に回数の制限があるよう な方式は、文化的退行(退廃ではない)をもたらしかねないのではないか、とい う気がすることだ。無論、一回見ればもう見なくていいような鑑賞物も世の中に は多いのだが、文化を作り出すクリエイティブな人々は、えてして同じものを何 度も鑑賞することによって目を養ったりする。そうする事でお金が嵩むようでは、 文化を産む人間が対人口比でどれだけ沢山育つのだろうかという点では疑問であ る。根本的なところで質が低下するのではないだろうか。質は、量によっても左 右されるモノなのである。ま、いずれ消費者文化にすぎずムキになっても仕方が ない気もするが…。 鑑賞に制限がある、などという事を気にしなくて済むようなシステムになって くれるのがユーザーからみて一番望ましい形だが、今のところは事業側の動きが 良く見えずに不透明だ。現在始まりつつある音楽配信事業でも、マジックゲート などでコピー回数に制限のあるプロテクトがされるようだが、HDDがクラッシュ したらどうするのかとか、プロテクトされたデータのままではユーザー側からみ ると色々と不都合が起きそうな気がするのだが。 まあ、直ぐにパッケージ品がなくなってしまうわけでもないし(まあ、そっち の方が高額か。でもビット配信の進展によってはレンタル業などの衰退にはつな がるだろう)、今までは見逃したり買い逃したり古くて売っていない、といった 事で鑑賞できなかったモノも、簡単にダウンロードして見聞きできるようになる、 というメリットはないでもない。 が、そのメリットが生かされるために、どこまで鑑賞する側の細かいニーズに 応える用意があるのか、今のところはわからない。事業側の原資も無尽蔵ではな い。金にならなきゃやらない、という選択が行われるのも常だ。 もうひとつの関心時は、認証やらプロテクトについての使い勝手の問題とかマ ンションによってはCATVがおいそれと引き込めない場合もあり、そういう家 庭はどうするのだろうなあ、といった、普及の度合いやユーザーが実際使う段階 での問題。 ある程度の解決策もあるのかもしれないが、あまりその辺についての詳しい報 道を見ていないのだが、ホントに大丈夫なんだろうか。 でもって、マイクロソフトなんかも、日本で最大のCATV会社タイタスを買 収したりとソニーの動きを牽制しちゃったりなんかして、なんだか、キナ臭い感 じがするのだが、いったいドコが勝つんだろうなあ。NTT? ということで、疑問点だけが提示されてもあまり面白くはないのでこの辺でや めるが、目が離せないなあ、という事でひとつ。最後のNTT? はオチのつも りなんだが、あんまり笑えんなあ。 <その2> 最近のゲーム関係でぜひ注目しておきたいのは、セガのアーケード部門だ(あ んまりマジに取らないように)。いわゆる「ゲーセンが光ファイバーで繋がる」 というネタだろう。どの程度本気かにもよるが、これこそがゲーセン復活の鍵だ ろう。やはり、単に通信機能があるだけでなく、通信をいかに「おもしろい」コ ンテンツに結び付けるかが重要になってくるので、簡単な事業ではないが、大規 模な施設が必要な、かつ転送データの大きいものなら、当面はご家庭では実現で きない遊びになるので、コストに目をつぶってがんばって欲しいものだ。逆にい うと、今のPCでもできるような通信型ゲーム程度では、お寒いかぎり、という ことになろう。韓国では、ネットゲームバンといって、PCのネットゲームをや る施設がかなりブレイクして増えているらしいが、PCでやるゲームの施設とい うのはあまり食指が動かないなあ。 いずれにせよ、通信型のゲーム施設では、バランスがよく攻略しがいのある対 戦(が可能な)ゲームが行われる事になるだろうが、その際、価格設定が、はた して映画などと比べ、どれだけ娯楽として対抗できるモノになるか、どれだけ魅 力的なものにできるかは、技術も問われるがより発想が問われるような気がする。 まあ、企画次第、プロデューサー次第か。シェンムー…。 (EOF)